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一役者の気ままな雑記。 何処へ転がりまするやら。

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蚊帳の中の魂



 蚊帳が夏に欠かせない風物の座から転げ落ちたのは、団地が出来始めた頃なのだろうか。

 私も団地っ子だが、中津川の祖父の家でかろうじて蚊帳を経験している。目に涼しい萌黄色を見上げた記憶がかすかにある。
 が余りに小さいころの事、蚊帳の端をパタパタと振って蚊を遠ざけてから出入りする作法は、『巷談宵宮雨』の稽古のときに初めて知った。 強欲老人龍達が登場する宇野信夫氏の名作では、蚊帳が重要な役割を果たす。

 南北の『四谷怪談』では、浪人民谷伊右衛門がお岩夫人と赤子から蚊帳を剥いで質店に向かう。髪すきからお岩の死へと向かうドラマの幕開けである。
 この蚊帳の趣向は『四谷』の先行作にあたる『謎帯一寸徳兵衛』で既に使われていて、女房お梶の恨みを背負った蚊帳が芝居の後半を支配する。

 歌舞伎に登場する江戸の生活用品の数々は、日々日常から姿を消しつつある。『魚屋宗五郎』で、宗五郎が持つ手拭いも例外ではない。この手拭を手染めする職人さんがもう居ないのだという。現在使っているものを大事に使うしかなく、やがて本物は消えていく運命にある。
 
 現在、蚊帳の特殊な織り方を利用した肉厚布巾(ふきん)は、100円ショップにも並んでいる。
 手軽な電気蚊取り器や殺虫剤に追われて姿を消したものと思っていたら蚊帳そのものも、意外にも現代に生きていた。

 マンション用の蚊帳もあり、ムカデの害を対象にした蚊帳もある。海外のマラリア蔓延地域にも進出しているという。
 まぁ、21世紀の住環境が無機質な、小動物一匹いないものにならなかったのは、或る意味幸いなことなのかもしれない。

 予想外に元気な蚊帳だったが、現代の蚊帳は舞台では使えない。今や麻ではなく殆どが化学繊維、舞台の世話物の屋台(家の装置)には色が合わないのだ。たまに旧家から寄付されることもあるというが、基本的にはこれも昔から使っているものを手入れしつつ大事に使い続けるしかないという。

 人の怨念まで宿す、濃密な魂を持ったモノは、機械では作れないのかもしれない。

『団七内』の蚊帳

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