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一役者の気ままな雑記。 何処へ転がりまするやら。

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長州のつくった憲法が日本を滅ぼすー『落日燃ゆ』


「日本が買い被られた」


 東京裁判が28人のA級被告たちに共通するとして突き付けた罪状は、侵略戦争と殺人に関する“共同謀議”の罪。

 実際の戦中日本は、首脳部が目まぐるしく替わり、“共同謀議”の成立しうる状況にはなかった。
 “統帥権の独立”の名を叫びながら、“大元帥”=天皇の意に染まない方へと暴走する軍部。いやその陸軍内部でさえも、参謀本部と陸軍省と意見を異にする“二本軍”だった。外交官が他国に示した戦闘不拡大の方針は現地の司令官たちによっていとも簡単に破られていった。
 
 被告の一人が苦笑した“買い被り”が、“自ら計らわぬ男”広田を、六人の軍人と共に絞首台に導いた。
 


 大正年間、政党政治の草分け原敬内閣時代に着工した国会議事堂の論壇に初めて立った首相は挙国一致内閣の広田だった。軍事費が半額を占める国家予算と心中するように総辞職して、十ヶ月余りの首相在任期間は終わった。

 “風車風が吹くまで昼寝かな”と詠んだ男に、その後も歴史の風は激しく吹き荒んだ。外交官広田の交渉相手は交戦国ではなく、目と鼻の三宅坂にある陸軍省だった。



 そしてこの戦争を導いた責任は、如何なる個人よりも統帥権の独立を許した構造そのものにあった、と城山氏は記す。
 日本国憲法発布の報を法廷控え室で読んだ重光葵と木戸幸一との“もう大丈夫”“やっと闘いを終わった”という会話を、重光の日記から書き込んでいる。



 「長州のつくった憲法が日本を滅ぼすことになる」との危惧を抱きつつ戦争回避に勤めた文官たった一人の死刑執行は、1948年12月23日午前0時20分だった。 


 戦争回避の様々な努力、東京裁判の無効性を連邦裁判所に提訴したスミス弁護士の努力の存在は、読者に幾許かの救いを与える。
為政者の戦争責任を追及し続けたザ・スペシャル

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だれか背広を着たやつ


 “TV界初の二時間ドラマ”は、コピー機の富士ゼロックスが提供するザ・スペシャル『落日燃ゆ』だった。
 翌年七月、『土曜ワイド劇場』が、一時間半枠で放映開始。江藤淳原作の三時間ドラマ『海は甦る』も翌年の放映である。

 第32代首相広田弘毅の生涯を描く城山三郎氏の伝記小説ドラマ化は、その大詰、東京裁判が検証する昭和史の中の広田首相、広田外相を回顧するという枠組みで描かれたのだったろう。被告席でヘッドホンをつけた滝沢修氏の姿が印象深い。

 英米法では“罪状認否”が裁判の最初の手続きである。被告が「無罪」を主張するところから法廷闘争が始まる。いささか儀式的なものでもあるが、広田は戦争についての責任が自分にはある、「無罪」とは言えないという。
 弁護人の再三の説得にもはかばかしい返事をせず、家族や関係者が固唾を呑んで見守る中、“Guilty? Or not guilty?”の問いにようやく「無罪」と答える場面には息詰まるものがあった。



 「だれか背広を着たやつがいいと言うんだな。」  
 2.26事件の一週間後、首相拝命の説得に現われた外交官同期の吉田茂は、こう言ったという。軍服でも、大礼服の似合う名門でもなく平凡でも庶民の出でも覚悟のあるやつ、と受け取った広田は天皇から組閣の大命を拝受した。血と弾痕に荒らされた首相官邸は、まだ使用できぬままだった。

 “Death by hunging”広田への判決を聞いた東京裁判の主席‘検事’キーナンは、嘆いた、「何という馬鹿げた判決か。絞首刑は不当だ。」と。


 戦後三十一年、1976年7月29日22:00から初の二時間ドラマは放映された。この月の新聞を賑わしていたのは、ロッキード疑惑。放映二日前には64、5代を勤めた田中角栄前首相逮捕が一面を飾っている。
 戦中史への興味はさて置いても、弁明せず責任をとる男の話は、折から一服の清涼剤でもあったろう。


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